交通事故でむち打ちになった場合の症状と理想的な通院頻度

交通事故によって身体に大きなダメージが加わると、骨折や擦過傷といった怪我だけでなく、目には見えない箇所を損傷することがあります。

例えば、筋肉や靭帯です。これらを損傷すると、他覚的所見はなくとも「むちうち」として、強い神経症状が残ってしまうこともあるんですね。

そこで今回は、むちうちの症状むち打ちになった場合の理想的な通院頻度を解説します。

交通事故の賠償金を得る上で、通院頻度は重要な指標となるため、ぜひ参考にしてみてください。

むちうちとは?

むちうちとは、交通事故によって首が鞭のようにしなることで起きる症状の総称です。専門的な名称は「頸椎捻挫」「頸部挫傷」「外傷性頸部症候群」などと呼ばれています。

むちうちの症状

むちうちの主な症状は次のとおりです。

  • 首や頭などへの痛み
  • 凝り(首や肩、背中など)
  • 首が回らない
  • めまいや目のかすみ
  • 吐き気
  • 握力の低下や指先などのまひ
  • だるい、疲れやすい

むちうちにはどんな治療法がある?

むちうちの治療は、主に以下の3つがあります。

  1. 理学療法
  2. 内服薬
  3. 神経ブロック注射

理学療法とは、リハビリを指します。事故発生から間もない痛みが強い状態の時は、基本的に安静が第一です。

しかし、安静にしすぎて体を動かさない状態のまま放置してしまうと、筋肉や関節の動きが鈍くなり、余計に痛みを長引かせてしまうこともあるんですね。

このような事態を避けるためにも、けん引や電気、振動などを組み合わせた理学療法によってむちうちの諸症状を改善していきます。

そして内服薬は、痛みが強い時に使用する消炎鎮痛剤のことです。

むちうちは、患部の痛みだけではなく頭痛を引き起こすこともあるため、痛みが強いときには消炎鎮痛剤を使って和らげるのです。

 

最後に神経ブロック注射ですが、こちらは痛みを感じる箇所に直接麻酔を注射します。

麻酔薬を使って痛みをブロックすると、筋肉の緊張をほぐすことができるため、重度のむちうちによく利用される治療法です。

むちうちの症状の注意点

交通事故後に先ほどの症状がみられたら、むちうちの疑いがあります。ただ、むちうちの特徴として恐ろしいのが、交通事故直後ではなく後から症状がみられることもある点です。

交通事故の当事者は興奮状態にあり、痛みなどの感覚がマヒしていることもあります。なにかしらの症状が確認できたときは、必ず病院で受信をしましょう。周囲に「むちうちなら大丈夫」と、根拠のない説明をする人もいます。また、時間がないなどを理由に病院へ行かないといった判断をしないでください。できれば事故直後に病院へいくべきです。

交通事故でむちうちと診断されたときの注意点

むちうちは長引くこともある症状です。そのため、保険会社も早めに示談を成立させようと考えるかもしれません。交通事故でむちうちと診断されたときの注意点を確認しておきましょう。

交通事故後は必ず病院へ行く

むちうちは見た目で分からない症状です。先ほど説明したとおり、交通事故後、しばらく時間が経過した後、むち打ちの症状がみられることもあります。それにより次のような状況になりやすいので注意をしてください。

  • 交通事故を物損事故として警察へ届けてしまった
  • 交通事故に遭った直後に病院で検査をしなかったため、むちうちの症状が交通事故によるものと証明できない

追突や衝突、急停車などの交通事故に合われたときは、体に異常がなくとも病院へ行き、人身事故扱いにしてもらうべきです。物損事故として届けた場合でも、あとで切り替えることができますが、警察や保険会社への対応が面倒になるので注意をしてください。万が一、保険会社が受け付けてくれない場合は弁護士に相談をしましょう。

保険会社への対応がわからない場合は、交通事故問題に精通している弁護士が在籍している、赤羽にある弁護士法人アクロピースへ相談をしてみましょう。

症状があるのに治療費が打ち切られることもある

保険会社は、むちうちの症状の対応に慣れています。被害者は、保険会社との対応が初めての人がほとんど、もしかすると都合のいい解釈を用いて早めに治療費を打ち切られるかもしれません。保険会社から打ち切りと言われるときの主な理由は次のとおりです。

  • 通院から3カ月が経過した
  • 通院日数が少ない
  • 治療の内容が簡易
  • 物損被害が軽度のため

症状があるにも関わらず、打ち切りを言われることがあります。また、被害者の対応があまりにも感情的で手か付けられないと取られると、早期の打ち切りを考えるかもしれません。保険会社の担当者も人間です。被害者なのもわかりますが、できるだけ感情的にならないよう注意をしましょう。

むちうちの治療で通院する理想的な頻度

むちうちの諸症状を改善するためには、ある程度の時間が必要です。

通院回数によって治りが早くなるとは必ずしもいえないため、通院を我慢してしまう方もいます。

しかし、必要な通院を我慢してしまうと、最終的に獲得できる慰謝料が少なくなってしまう可能性もあるんですね。

そこで覚えておきたいのが、慰謝料の算定方法です。

 

慰謝料の算定方法

  1. 自賠責保険基準
  2. 任意保険基準
  3. 弁護士基準

慰謝料の算定方法には、上記3つがありますが、算定方法が明確になされているのは、自賠責保険と弁護士基準です。

まず自賠責保険ですが、1通院につき4,200円で計算される仕組みです。

通院日数 × 2もしくは、実際に通院した期間のいずれか少ない方で計算します。

続いて弁護士基準ですが、こちらは通院期間の日数で算定されることがほとんどです。

 

ただし、極端に通院日数が少ないと、弁護士基準での算定が認められない場合もあります。

これらを全て踏まえた上で考えると、むちうちの治療で通院する理想的な日数は週に2日程度。

つまり、3日に1回の計算となるのです。

3日に1回のペースで通っていれば、自賠責保険基準で算定された際にも、実際に通院した期間と通院日数 × 2に大きな違いが発生しません。

通院頻度を少なくしないためのコツ

仕事やプライベートが忙しいと、3日に1回のペースで病院に通うのは、難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。

そこでおすすめなのが、

  1. リハビリ施設が併設されたクリニックを探す
  2. 担当医に接骨院に通う許可をもらう

この上記2つの方法です。

まず、リハビリ施設が併設されたクリニックであれば、予約が可能となるケースが多いため、そこまで待たされる心配はありません。

確実に行けそうな空き時間に予約をすれば、少ない時間で効率よく通うことも可能です。

 

また、病院の担当医から接骨院に通っても良いという許可をもらえれば、近所の接骨院でも治療が受けられます。

仕事帰りでも立ち寄りやすいため、かなり便利になりますね!

弁護士に相談して後遺障害等級認定

むちうちの症状が続いているにも関わらず、打ち切りの申し出を受けたときは、後遺障害等級認定を視野に入れましょう。

慰謝料には3つの基準があり、その中でも弁護士基準が適用されれば、一番低い自賠責基準の約3倍の慰謝料が提示できます。認定を受けるための適切なアドバイスを受けられるので、むちうちの打ち切りを申し出られたときは、弁護士に相談することをおすすめします。

まとめ

むちうちは、時間が経過してから痛みやしびれを引き起こすことも少なくありません。

将来的な不安を残さないためにも、我慢せずにしっかりと通うことが大切です。

公開日:
最終更新日:2020/09/03